方針管理とは何か?
下の一文は私なりに日本科学技術連盟のホームページをみてまとめた内容です。
『方針管理とは「経営方針(目的・目標)を達成するために行う業務の管理の仕組み・取り組み」です。方針管理が全社を対象としていることまた期間を最低でも年度とする点で、現場において日常的な業務を対象とする日常管理とは大きく異なります。』
次の文はweblio辞書(OR辞典)から引用したものです。
方針管理とは『企業において、経営目的を達成するための手段として制定された中・長期経営計画、あるいは年度経営方針を体系的に達成するためのすべての活動をいう。通常は、方針の策定、方針の展開、実行計画の策定、活動状況のチェック、処置、次年度への反省というステップがとられる。日常管理、機能別管理とともに、TQM活動における経営管理システムの柱の1つである。』
あなたはこの文章を読んで「ああなるほど方針管理とはこういうものなのか!」と理解されたでしょうか? もしそうだとしたらあなたはこれまで相当勉強してこられたか、あるいは相当頭の良い方だと思います。そもそも方針とは何なのか? 管理とは? 経営方針? 目的・目標? 業務? 仕組み?・・・それぞれの言葉を私たちは日頃からわかったつもりで使っていますが、一つひとつの言葉とそのつながりは本当に社内で共有されている言葉・意味なのでしょうか? もしそうならば、どうして経営者やマネージャーの悩みは方針展開にあるのでしょうか? 私はこの問題にここで取り組みたいと思うのです。その目的はあなた(経営者やリーダー)が方針展開の悩みから解放されることです。
さてそれでは早速ですが、上記二文をしっかりと自分のものにするために、一つひとつの言葉を丁寧に読み取りながら想像を膨らませてみたいと思います。
まず「方針」と「管理」とは何でしょうか?
方針とは『目標を達成するための活動の方向づけや制約条件を意味している。したがって、下位者の目標は上位の方針の範囲内で設定することになる。古典的な目標管理では、目標と方針はセットで提示される必要があるということが強調されていた。』〔コトバンク〕
管理とは『一定の協働目的を効果的、能率的に達成するために、協働体系そのものの維持発展をはかる機能。通常は協働体系一般ではなく、定型的に確立された組織体について語られる。すなわち組織体の目的活動を推進するには、人員、物品、資金、情報などの諸資源を調達し、それら資源を合理的に配分、活用するための諸制度 (組織、人事、財務、文書) を整備するとともに、目的活動に直接かかわる企画および評価機能の充実をはからなければならない。』〔コトバンク〕
この「方針」と「管理」という言葉を改めて調べてみることによって、私たちは上記二文の「方針管理」の説明ではさらっと読み流してしまっていた、ミドルマネジメントは「上位方針の範囲内で設定しなければならないという制約条件」をより強く感じますね。しかも経営方針や経営目的を達成するうえで、ただ達成すれば良いというものではなく「効果的、効率的に達成する」という条件も付いてくるのです。そのためには「自組織のヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源をフル活用させる必要がある」という意味も込められてきました。しかもその経営資源をどのようにフル活用させるのかの「企画とモニタリング・評価の責任」もあるのです。
さてそれでは次に、そもそも上位方針である「経営方針」について調べてみましょう。
経営方針とは『〈経営方針〉〈経営戦略〉の用語の意義は互いに重複しており、実際上も混同して使用されることが多い。あえて分ければ、経営方針は経営の基本目標を示したものといえ、経営戦略は、この基本目標を実現するため、いかなる事業活動を行うかについての指標といえる。』〔コトバンク〕
ちょっと待ってください。ここに「目標」という言葉が使われています。経営目的の「目的」と併せて調べてみましょう。
目的とは、『実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい。めあて。』
目標とは、『身体的運動、心的活動など生体の行う行動が目指している最終的な結果。このような行動が引起されるためには生体が特定の動機、動因の状態にあることを必要とするが、必ずしもその最終結果についての観念をもっていたり、意識していたりする必要はない。』
と書いてあります。
先に調べた「経営方針」と「経営目的」・「目標」という言葉とあわせてイメージしてみると、どうやらミドルマネジメントが制約を受ける上位方針というものは、経営(すなわち社長をはじめとしたボードメンバー)が実現しようとしてめざす基本的な事柄であり、その目指す行動の最終結果を目標ということが分かります。ただ、目標は「必ずしもその最終結果についての観念をもっていたり、意識していたりする必要はない」と書いてありますから、必ずしも直接的に「目標→目的」あるいは「目標=目的」の一対である必要はなく、目標は経営諸資源にある(例えば、メンバーの動機づけを目標とすることなど)、または階層(目的に近づくためのステップ)になっていても良いなど一つの目的にいくつも目標があって良いんだなということがわかります。
さて、いよいよ最後です。「業務」・「仕組み」とは何でしょうか? 調べてみましょう。
業務とは『職業や事業などに関して継続して行う仕事。』
仕組みとは『 物事の組み立て。構造。事をうまく運ぶために工夫された計画。くわだて。』
のことです。
私たちがこれまで一つひとつの言葉を調べてイメージを膨らませてきたいわゆる「経営方針(目的・目標)を達成するために行う(こと)」・「企業において、経営目的を達成するための手段として制定された中・長期経営計画、あるいは年度経営方針を体系的に達成するためのすべての活動」を継続することがミドルマネジメントの業務であり、それを成果に結びつけるためにどのように物事を組み立て計画を作るか、そして成果につなげるか(経営方針や経営目的を達成するか)までをやりきることがミドルマネジメントに託された方針管理であると上記二文はいっているのです。
いかがでしょうか? ミドルマネジメントであるあなたは経験豊富です。ですからさっと読んでわかったつもりになりがちですが、改めて一つひとつの言葉の意味を押さえながら咀嚼して読み込んでみると今まで気づかなかった(忘れてしまっていた)深い味わいが出てきて「方針管理」という言葉の意味や大切さを再度実感された方もいらっしゃると思います。
もしそういう方が一人でもいらっしゃったならば、私の今回のブログの役目を果たすことができました。
読んでいただきありがとうございました。
Taka's Management Blog
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